2月の下旬頃になって「生きていてもツラい」と、言い出した21歳の長男。
今年の初めから、通っている専門学校とも没交渉。
先生や友達からの連絡も無視している状態。
家の中でも、虚ろな感じ。
話しかけても、反応が薄い。
2年前まで続いていた引きこもりの再燃か、と、私も気持ちが沈む。
【参考:生きてるのがツラいと言いだした長男の様子】
https://saltchan.hatenablog.jp/entry/2022/02/21/215728
3月に入り、長男の通っている専門学校の先生が、家庭訪問に来てくださる。
私の仕事の都合に合わせ、先生は勤務時間外の夜の来訪。
長男、先生の訪問に最初、「憂鬱」と言っていたので、それすらも拒絶するかと思いきや、自分の部屋から出てきて、居間で先生と相向かいで座り、先生の話を聞く。
先生から、「選択肢は1つでない」と諭される。
長男は、自分が進みたい業界への就職活動や、そのための学校での活動の波にうまく乗り切ることができず、動けていない状況である。
そんな自分自身を、ダメだと思い込み、さらにヤル気が出ない、という悪循環の状態であった。
先生は、長男に説教をするとする、というスタイルではなく、そして、単なる担任の先生としての事務的な話をするでもなく、ご自分の経験や、個人的な考えなど、いろいろなことを含め、長男に話をしてくださった。
それは、2時間近くに及んだ。
先生も仕事で疲れているはずなのに…。
長男、最初、頑なで、殻をかぶったような用心深い態度であったが、先生の訪問が終わる頃には、自分のことを理解してもらえた、という思いからか、少しほっとしたような様子であった。
家族の中にいるだけでは、こうはいかない。
親だと、意図しないうちに、ついつい説教めいた口調や言動になってしまう。
また、必要以上に本人に対し腫れ物に触るような扱いとなってしまい、本人の自立支援のために、ちょうどいい距離感を取るのが難しいのである。
今回については、家族以外の大人が、ひきこもり問題に介入することにより、良い効果をもたらすことができたと感じた。
担任の先生には、感謝である。
それから、1週間後、今度は、私の友人2人が、長男を心配して家庭訪問をしてくれた。
2人は、息子の通う専門学校で先生を務めているSさんと、お医者さんをしているNさん。
私とは、仕事も、生活環境も、価値観も違う2人。
長男は、今の生活をしている限り、絶対関わることがないような大人たちである。
Sさんは、長男の志望する業界事情に詳しいことから、その知見をもとに、長男の意見を引き出し、長男の不安を解消するべく、いろいろな投げかけをしてくれる。
長男、ポツリポツリと、それに対し答える。
Sさんの、具体的で、熱い投げかけに対し、Nさんは、医師という立場から、患者さんに向き合うようなそっと優しい口調で、長男のネガティブな意見をフォローしてくれる。
SさんとNさんも、2時間以上の長時間、長男に向き合ってくれた。
2人とも普段は、とても忙しい大人たちである。
長男のために、貴重な時間を割いてくれた。
2人の訪問を受け、長男の不安な気持ちは、更におさまったような感がうかがわれた。
以前ならば、学校の先生や、見知らぬ大人に会うことを拒絶していた長男。
しかし今回については、それを受け入れ、話を聞くという態度をとることができた。
長男本人の中に、どうしようもない絶望感だけでなく、そこから救い出してくれる誰かを求める気持ち、そして、希望があればそれを掴んてわ這い上がろうという気持ちがあったのだと思われる。
これは、今までの長男にはなかった心の傾向である。
諦めて、動こうとしない、動けない、というのが、今までの長男であったから。
面白いことに、Sさんと、Nさんが、長男とやりとりをしている間、次男は、その横でずっと控えていた。
自室にこもって、客人が帰って行くのを待っているのかと思いきや、座って聞いていた。
次男は19歳。
少し前まで、人とやりとりするのが苦痛、と、言い続けて、他人と会うことを極力避けていたのである。
それで、この3年間、所属している通信制高校を休学していた。
しかし、この春から、学校に復学する決心をした。
近頃、いろいろな大人に興味を持っているようである。
その変わりように、私が驚く。
【参考:次男復学を決意するの巻】
https://saltchan.hatenablog.jp/entry/2022/03/01/000116
その後、SさんとNさん、私とで、近所の飲食店へ、お昼ご飯を一緒に食べに行った。
次男は、自主的についてきて、2人に質問をいくつか投げかけていた。
意外な展開に、私は、これにも驚く。
次男、「楽しかった」と2人が帰った後、そう言った。
親があれやこれやと言うよりも、第三者、良識のある大人が声をかけることにより、子供たちの気持ちや行動が大きく変わることを実感する。
そして、親の私が1人で問題を抱え込むのではなく、いろいろな大人の助けを得た方が、前に進みやすいということを理解する。
大人と言えば、今までの息子たちにとっては、両親と学校の先生だけであった。
先生というオトナは、息子達はあまり信用していなかったようである。
だから、2人とも、中学の頃、不登校になってしまった。
しかし、学校という世界の外にいる大人は、子供たちにとって人生の先輩であり、大きな影響を与える存在なのだなぁと思う。
思い起こせば、次男が中学の頃、不登校となり、八方塞がりの状態の時、当時の担任の先生が、学校の先生という枠を超えて、自分の時間を使って熱心に家庭訪問をしてくれた。
そして、先生の人生観を色々と息子に語ってくれた。
同じ頃、不登校を支援するカウンセラーの先生や、私の職場の先輩が、親身になって次男と向き合い、家庭訪問をしてくれ、語りかけてくれたことがあった。
それらのことから、次男は、通信制高校という進路を選び、前に進むことができた。
この時も、親とか形ばかりの先生ではない、信頼のおける大人たちが、次男の心を動かし、次男を良い方向へ導いてくれたっけ。
長男、良識のある大人たちの親身な訪問を受け、学校に復帰する決心をした。
担任の先生に、自分から、「もう一年学校に通います。」と返事をすることができた。
今回、時間外に家庭訪問をしてくれた担任の先生、そして、貴重なお休みの日の時間を使って、わざわざ家まで来てくれた2人の友人には感謝しかない。
本当にありがとうございます。