女性中間管理職ソルトの「へーそうなんだ~」日記

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書評:林真理子さんの、「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」は、痛快!オモロい!

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またもやAudibleネタです。

1500円で1ヵ月聴き放題、というシステムになってから小説に手を出すようになった私。


仕事で鬱々したときに、注意を自分の外に向けることができる物語を耳で聞く、というのは、良いリフレッシュになる、と、いうことをAudibleを利用することにより気付きました。

面白い物語に引き込まれ、嫌な気分を、ふっと忘れさせてくれます。

どこかに行かなくても、スマホとイヤホンがあれば、気軽にできるリフレッシュ法です。


近頃、非常に愉快な気分になった本の一つが、林真理子さん作の、「最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室」です。

面白そうなタイトルなので、以前から気になっている本ではありましたが、「小説はいちど読んだらおしまい。娯楽本の一種である」という考えを持っている私なので、購入してまで、所有しようという気持ちは持ち合わせていませんでした。

気軽に手に入れることができ、形のあるモノとして残らないAudibleは、そういう私にとってぴったりのシステムだと思います。

万一、気に入ったら、Kindle本や、リアルの本を、手に入れれば良いのですから。


この物語の主人公は、名古屋出身の50代の女性社長、中島ハルコです。

あ、あと、30代後半のフードライター菊池いづみも、物語の中に常に登場するので、主人公みたいな存在かなと思いました。


ものすごい自信家で、かなり非常識なところがあるパワフルな中島ハルコと、少しばかり自分の生き方にやや迷いがある菊地いづみが、ひょんなことで知り合い、いづみが中島ハルコの非常識さと強引さに困惑しながらもグイグイ惹かれていく、そしてハルコもいづみのことが気にいったようで、だんだんと持ちつ持たれつの関係となっていきます。


そんな中で、中島ハルコが、菊池いづみの悩み事だけでなく、周辺の人々の深刻なお悩みに、自分の経験に基づいた人生観で自信たっぷりにズバッと答える、というようなストーリーが11話、入っています。


人々の深刻なお悩みとは、お金のこと、男女関係のこと、例えば不倫にまつわる悩み、愛人としてのあり方、セックス論、濡れ落ち葉亭主との関係性など、世間の人々の悩みとして、あるあるだと思われるものばかりです。

一見、金銭的にも社会的にも恵まれているような人が、意外なところで意外な悩みにとらわれて、鬱々としているのです。


そんなによくできた話なんて、あるわけないと思う方もいるかもしれませんし、人生経験のない若い方からすると、ゲンナリして、それって良いの?!と、思えるようなようなエピソードも盛り込まれています。


しかし、50代となった今の私から見ると、それらの悩み事を持っている登場人物たちの気持ちは、なんだか共感できます。


それを、これまた明快な理屈と、鋭い洞察力でビシッとアドバイスをする中島ハルコの様子に感嘆しました。


11話ある各物語を読み(聴き)終わった後、「もっと、自分は強く出てもいいんじゃないか」という勇気が自分の中に芽生えたのを感じました。

普段から、とかく、相手の様子を窺いつつ、モノを言ったり、遠慮をしたりするところがある自分。

時折、過剰に自分を卑下してしまったりして、後で、ちょっとつまらない思いをしたりする自分。

謙虚に生きることが美徳だと思っているし、人を傷つけてはいけないと思ったりするものの、時々、我が出てしまい、そんな自分にげんなりする自分。

 

しかし、中島ハルコのように、最初から、わがままに自分を主張し、相手を自分のほうに引きつけ、自分自身がスッキリ、それでいて相手の役にもちゃんと立っている、という生き方も、たまにはアリなんじゃないか、と、思います。

いや、むしろそのほうが、意外と相手にとっても気持ちが良い関係性だったりする場合もあるのかもしれません。

 

自分が妙に気を遣ってしまい、モヤモヤ、相手もそれを感じてか、はっきりものを言わない、そして、お互いなんだかすっきりしない、、、と、いう関係性も自分にはありますので。

 

あと、この小説をとても面白く感じたところは、ハルコの出身、名古屋の話題が出てくることです。

名古屋では有名なお嬢様学校である金城学園の言われ、嫁入りの時の菓子撒き、婚礼道具を積んだトラックの扱い、老舗の外郎屋の話、昔ながらの粋な料亭の話、そして私の出身大学でもある名古屋大学の話などが出てきて、愛知県出身の私にとっては、非常に親しみ深い名古屋あるあるの話題が満載です。

 

私は、お金持ちでも、お嬢様でもありませんが、

「ハルコさん、そうか〜、名古屋出身のお嬢様だったのね…」と、物語の話題に至極共感して、楽しむことができました。

 

林真理子さんが、名古屋のエッセンスを入れて書いてくれたこの小説に、より親しみが湧いた次第で、「林真理子さん、ありがとうございます」といった気分になりました。

 

なお、この物語には、「中島ハルコはまだ懲りていない」という続編があり、これもまた引き続き痛快な物語が揃っています。

面白いので、一度だけでなく、只今二度目を聞いているところであります。