先日、会社で、管理職用のセミナーを聞いていて、セミナーの講師が、実業家、田口 一成さんの、「9割の社会問題はビジネスで解決できる。」を紹介していました。
知らない方で、知らない本でしたが、Audibleの読み放題で手に入ったので、なんとはなしに耳読してみました。
そしたら、期待以上にとても良い内容で、細切時間を使って、一気読みならぬ、一気聴きしてしまいました。
【Audible本の紹介】
https://www.audible.co.jp/pd?asin=B096V3M8N5&source_code=ASSORAP0511160006&share_location=player_overflow
私は今、会社員ですが、いつかは起業して自分の力で稼げる力を身に付けたいと思っています。
こういったことを考えている人は、今の世の中、多くいると思います。
問題は、何で起業するか、自分はどんなことができるか、果たして起業できる能力があるのかどうか、というのが、なかなか定まらないところです。
自分は、どんなことができるのか、自分のどんなところが人に喜んでもらえるのか、自分が何をすれば世の中の人がお金を払ってくれるのか、そのための準備がいつできるのか…など、グズグズ考えていました。
しかし、この本を読んで、私は、結局、「自分が自分のことしか考えていない『金儲け』ビジネスを探し求めているだけなのだ」という狭い発想に陥っていることに気づき、はっとさせられました。
この本の著者である田口さんは、起業をしたい人を後押しする会社を運営しています。
その会社の名前はボーダレス・ジャパン。
一事業に対し、1,500万円を提供し、起業のためのノウハウ、起業してから事業が黒字化するまでの伴走をしていく、という仕組みを作りました。
このボーダレス・ジャパンの特徴は、単なる起業家を応援するものではありません。
社会問題、世の中をより良くするための事業を、支援対象としています。
貧しい国々の人々が自立できるような事業、フードロス問題を解決するための事業、衣類の廃棄ロスを解決するための事業、など、世界の弱い立場和人々が自立する事業、社会全体がより良い方向性に向かうような事業を、テーマとして起業したい人を応援するというのが特徴です。
ビジネスレザーファクトリーという名前の、シンプルな革製品を、比較的リーズナブルな値段で扱っているお店があります。
名古屋にもあり、私もそこで、小銭入れなど数点商品を買ったことがあります。
安かろう悪かろうということなく、使い心地の良い革製品です。
この会社もボーダレス・ジャパンの支援による会社であり、バングラディッシュの貧困層の人々の雇用を生み出し、自立できるような応援するために作られたことをこの本で知りました。
おまけに、皮の加工の技術を全く知らないゼロからのスタート、というエピソードにも驚きでした。
だから、ボーダレス・ジャパンは、全く知らなかった会社でしたが、非常に身近なものに感じました。
【ビジネスレザーファクトリーの紹介】
https://www.borderless-japan.com/magazine/60402/
「ソーシャルビジネス」「社会起業家」という言葉が、本の中に幾度か現れます。
1,500万円の運転資金の仕組みについては、ボーダレスジャパンに属する企業が、お互いに助け合う、という、株式会社間の「恩送りシステム」というもので成り立っています。
各会社の儲けを、拠出金として出し合う、これが、新しく起こす会社の運転資金になるのだそうです。
社会問題に立ち向かう事業と言うのは、大抵が、慈善事業で儲からないのが当たり前、というようなイメージがあります。
しかし、田口さんはその既成概念を根底から覆すようなビジネスモデルを確立させました。
いろいろな、失敗を行うことにより、その失敗から学ぶということを徹底的に繰り返し、成功する仕組みを徐々に作り出すというやり方です。
この本を読んで、私は実践して実証した訳ではありませんが、その内容を読み進むにつれ、このボーダレス・ジャパンという会社の仕組みが、明快でよくできている、と、感心しました。
「ビジネスは続けていればいつかは成功する」という言葉にも感銘しました。
人は、やる前から、諦めてしまって「私にはできない」「これはこんなもんだから仕方がない」と言って自分で自分のやっていることにブレーキをかけているところが幾分かあります。
しかし、失敗する事は当たり前であり、何が問題であったかをとことん考え、その失敗から学んでどんどんPD CAサイクルを回すというやり方を、根気よく熱意を持って続ければ、どのような問題でも解決の糸口はあるんだなと言うことが、この本の実例でよく理解することができました。
また、やったことがないテーマであっても、手探りであれこれとためしていけば、ものになるという実例も示されていて、これはこれで驚きでした。
私自身、将来の起業のテーマを今現在模索しているところです。
人の役に立ちたい、でも、今の自分に何ができるか、という観点だけ持って、ただただ漠然と考えていました。
しかし、掘り下げ方が甘く、非常に低い目線で探していたなと反省しました。
この本を読んで、「社会問題」いう言葉をキーワードが、とても心に残りました。
「自分ができるかどうか」という狭い範囲の中だけで探そうとせず、大きな視野を持って、自分が「世の中のここを変えたい」と考えるテーマをいくつか洗い出すことにより、自分が取り組みたいテーマを決めたいと思いました。
「できるようになったら始めよう」というのではなく、「できるかどうかわからないけれど、こうなったらいいな」というものを探すのです。
その方が、自分自身のモチベーションを保ち続け、人生100年時代を、ワクワク、生き生きと過ごすことができるように思います。